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台湾の建築-1

長らくブログお休みしておりましたが、また再開していきたいと思います!

先日、住宅部会の研修で台湾建築を見学してきました。台湾の国土は九州よりやや小さめくらいの島ですが、人口密度は日本の倍です。関西空港を出発して台北桃園国際空港まで約3時間半で到着。当日はあいにくのお天気でした。台湾の気候は亜熱帯気候ですが、8月のその時期は日本も近年相当暑いので、さほど変わらないような感じでした。

ひとつめに訪れたのは空港からバスで1時間半のところにある宜蘭という海岸沿いの小さな町に、突如出現する蘭陽博物館 LANYANG MUSEUM(設計:姚仁喜)この地域でよくみられるケスタといわれる特有の丘陵のかたちをモチーフに設計されています。実際写真で見たほど風景に溶け込んでいるかというと?と思いましたが、、外壁が傾斜しているため、背景の山や空が切り取られて見えるという着想のアプローチは面白く、ダイナミックな建築です。完成するまでにいろいろとあって20年の歳月がかかったそうです。外壁は御影石と、石を模ったようなセラミックで構成されていました。近づいてみると御影石だけでも良かったように思っちゃいましたが。。

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外壁の御影石とセラミック

外壁

湖に張り出した階段デッキは人が寄り添う面白いスペースでした。

デッキ

ホールにはいると水平垂直の感覚がおかしくなってきます。
ホール

おそらくモチーフになっているケスタという丘陵

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最後はドラゴンフルーツ味など美味しいジェラートいただきました!
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台湾では一般的な派手派手バスでいざ、台中へ出発です!

バス

金沢路地裏散策

金沢小旅行に行ってきました。

①主計町界隈です。 路地裏には料亭や茶屋が並んでいます。

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③あの階段を上ると何があるのか期待してしまいます。

②階段はジャミコンと石を交互に使っていました。

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DSCN0769これは代表的な金沢町家です。  「ミセノマ」とよばれる部屋が路面に面しています。

半屋外的なスペースです。  奥には中庭に置かれた灯篭が見えています。

④露天の古本屋です。  意外と繁盛しています。

⑤のびたは売り物ではないようです。

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⑥木虫籠とよばれる格子です。  虫籠のように細かいピッチなのでそう呼ばれているそうです。

室内の様子はほとんど見えないのですが、中から外の様子はとてもはっきりと見えました。

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長町界隈です。 土塀がいたるところにあります。

土台は石垣でできており、土壁を雨から守るため、上部には屋根がついています。

DSCN0707最後にあの有名な建築を見て帰りました。

終り。

 

韓国/済州島 伊丹潤氏建築視察 

伊丹潤氏を巡る2泊3日の旅 Part.2

水、風に続いて三つの美術館の最後、石の美術館

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鉄の美術館?っていうほど中も外も鉄。伊丹氏が確固たる箱の中で、しかも暗闇で作品をみるという幻想があったという。廃墟萌えの僕的には、中よりもこのかなり朽ちた感じのコールテン鋼の箱が萌えーでした 。強い日差しと澄んだ空が、より建築を美しくしています。

 

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済州島の民家集落、城邑民俗村では、まばらに積み重ねられた風避けの石垣(黒い溶岩石)、風が家の中に直接吹き込むのを防ぐために曲がっている狭い路地、済州の代表的な風物になっているトルハルバンという変な??石のおじいさんを見ることができました。

 

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何よりこの集落を上から見たとき、伊丹氏のPODOホテルの屋根形状が、この済州島のゆるやかな傾斜の地形と風の強い気候から自然発生的に湧き出たデザインだということに納得できました。

 

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また、4人の建築家によるART VILLAというプロジェクトで、上から見るとイタリアのアルベロベロの集落を思わせるような隈研吾氏の住宅群も見ることができました。これもまた、隈氏らしい済州島の解釈でした。 ここに住むのに2億5千万円するそうですが、実際4人の中で一番人気で、唯一完売だそうです。

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今回の伊丹氏の建築をはじめ、集落やホテル、美術館などの建築を通して感じたのは、環境、地形、気候風土、歴史を考えて土地と人とを自然につなげている建築はやはり美しく、そんな建築をつくりたいと改めて思います

 

最後にもうひとつ韓国でまさか会えると思ってなかった、以前から好きだった彫刻家の作品に出会うことができて感動してしまいました。   アントニー・ゴームリー http://www.antonygormley.com/ という、イギリスの彫刻家。その造形と彫刻のシーンが美しいこともさることながら、彼の作品は、人体を「物」としてではなく「場所」として扱おうとしていて、その制作過程は、全人類共通の条件を識別するために、個々の肉体の「場所」を取り囲むことである。「作品は象徴ではなく、印 —— 時間の中のリアルな肉体のリアルなイベントの痕跡なのである」という彼の考え方は、興味深く、引き寄せられるものがあります。

これは、もう一人僕の好きなクリスト http://www.christojeanneclaude.net/ というブルガリアの美術家の思想にも通ずるところがあります。見慣れた建造物など風景を一時的に梱包することで、人の心に変化を与える作品です。着想はモンゴル族のパオの移動がきっかけだと聞いたことがありますが、彼が「作品は夢のように現れ、夢のように消えて観客の中にしか残らない」といっているようにこれもひとつの痕跡だと思います。

他にもご紹介したい素晴らしい彫刻家がいるのですが、延々書いてしまいそうなので、またの機会にしたいと思います^^

 

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韓国/済州島 伊丹潤氏建築視察

伊丹潤氏を巡る2泊3日の旅 Part.1

関西空港からたった1時間15分で韓国のハワイともいわれる済州国際空港に到着。気持ちのいい海風と青い空の島です。日本との時差も無いことに驚きながら、初日は2009年完成の伊丹氏晩年の作品、ノアの箱舟教会(通称”空の教会”)からスタートしました。

伊丹氏が空と光が走っていくような表層が表れる建築にしたかったという表現がまさに表れた建築、屋根の映り込みの異なる3色の亜鉛合板葺きが印象的。

 

 

この海側のガラスは透明にして済州島の美しい景観を見せて欲しかった気はするが。。。キリスト教だけに禁欲精神からこうなったのだろうか??

 

 

水盤から少し出た砂利によってきらきらと反射する水面が美しかった。

 

 

水面に差しこんだような木柱と石の基礎のディテール

 

 

水の美術館

「ビオトピア・プロジェクト」の中の二つの手の美術館と、水、風、石の美術館と名づけられた4つのプライベート美術館(第23回村野藤吾賞)

済州島の石でできた床と塀の中を、葉のさえずりを感じながら抜けていくと、楕円形にあけられた屋根の開口が迎えてくれる。

 

 

そこから見える空の動きを、水面に映しだす空間、その中で光、水、雲、影が絶えず動き、空間の質を変容させている、心地よく緊張感のある場でした。

 

 

高台から振り返った全景 低く抑えた屋根の上からも遠景の景色が見えている

 

 

風の美術館

風の空間は、木でできた箱で、板と板の隙間を風が抜けていく。

 

 

中に入り石の椅子に座るり、その板の隙間を抜ける風音を感じると伊丹氏が、この外壁の板を弦と表現しているのがよくわかる。

 

 

軒先のフラットバー加工によるシャープなデザインが、ゆるく弧を描いている壁面を強調していて、その影も絶妙。

 

 

Part.2へつづく