月別アーカイブ: 2013年10月

韓国/済州島 伊丹潤氏建築視察 

伊丹潤氏を巡る2泊3日の旅 Part.2

水、風に続いて三つの美術館の最後、石の美術館

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鉄の美術館?っていうほど中も外も鉄。伊丹氏が確固たる箱の中で、しかも暗闇で作品をみるという幻想があったという。廃墟萌えの僕的には、中よりもこのかなり朽ちた感じのコールテン鋼の箱が萌えーでした 。強い日差しと澄んだ空が、より建築を美しくしています。

 

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済州島の民家集落、城邑民俗村では、まばらに積み重ねられた風避けの石垣(黒い溶岩石)、風が家の中に直接吹き込むのを防ぐために曲がっている狭い路地、済州の代表的な風物になっているトルハルバンという変な??石のおじいさんを見ることができました。

 

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何よりこの集落を上から見たとき、伊丹氏のPODOホテルの屋根形状が、この済州島のゆるやかな傾斜の地形と風の強い気候から自然発生的に湧き出たデザインだということに納得できました。

 

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また、4人の建築家によるART VILLAというプロジェクトで、上から見るとイタリアのアルベロベロの集落を思わせるような隈研吾氏の住宅群も見ることができました。これもまた、隈氏らしい済州島の解釈でした。 ここに住むのに2億5千万円するそうですが、実際4人の中で一番人気で、唯一完売だそうです。

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今回の伊丹氏の建築をはじめ、集落やホテル、美術館などの建築を通して感じたのは、環境、地形、気候風土、歴史を考えて土地と人とを自然につなげている建築はやはり美しく、そんな建築をつくりたいと改めて思います

 

最後にもうひとつ韓国でまさか会えると思ってなかった、以前から好きだった彫刻家の作品に出会うことができて感動してしまいました。   アントニー・ゴームリー http://www.antonygormley.com/ という、イギリスの彫刻家。その造形と彫刻のシーンが美しいこともさることながら、彼の作品は、人体を「物」としてではなく「場所」として扱おうとしていて、その制作過程は、全人類共通の条件を識別するために、個々の肉体の「場所」を取り囲むことである。「作品は象徴ではなく、印 —— 時間の中のリアルな肉体のリアルなイベントの痕跡なのである」という彼の考え方は、興味深く、引き寄せられるものがあります。

これは、もう一人僕の好きなクリスト http://www.christojeanneclaude.net/ というブルガリアの美術家の思想にも通ずるところがあります。見慣れた建造物など風景を一時的に梱包することで、人の心に変化を与える作品です。着想はモンゴル族のパオの移動がきっかけだと聞いたことがありますが、彼が「作品は夢のように現れ、夢のように消えて観客の中にしか残らない」といっているようにこれもひとつの痕跡だと思います。

他にもご紹介したい素晴らしい彫刻家がいるのですが、延々書いてしまいそうなので、またの機会にしたいと思います^^

 

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韓国/済州島 伊丹潤氏建築視察

伊丹潤氏を巡る2泊3日の旅 Part.1

関西空港からたった1時間15分で韓国のハワイともいわれる済州国際空港に到着。気持ちのいい海風と青い空の島です。日本との時差も無いことに驚きながら、初日は2009年完成の伊丹氏晩年の作品、ノアの箱舟教会(通称”空の教会”)からスタートしました。

伊丹氏が空と光が走っていくような表層が表れる建築にしたかったという表現がまさに表れた建築、屋根の映り込みの異なる3色の亜鉛合板葺きが印象的。

 

 

この海側のガラスは透明にして済州島の美しい景観を見せて欲しかった気はするが。。。キリスト教だけに禁欲精神からこうなったのだろうか??

 

 

水盤から少し出た砂利によってきらきらと反射する水面が美しかった。

 

 

水面に差しこんだような木柱と石の基礎のディテール

 

 

水の美術館

「ビオトピア・プロジェクト」の中の二つの手の美術館と、水、風、石の美術館と名づけられた4つのプライベート美術館(第23回村野藤吾賞)

済州島の石でできた床と塀の中を、葉のさえずりを感じながら抜けていくと、楕円形にあけられた屋根の開口が迎えてくれる。

 

 

そこから見える空の動きを、水面に映しだす空間、その中で光、水、雲、影が絶えず動き、空間の質を変容させている、心地よく緊張感のある場でした。

 

 

高台から振り返った全景 低く抑えた屋根の上からも遠景の景色が見えている

 

 

風の美術館

風の空間は、木でできた箱で、板と板の隙間を風が抜けていく。

 

 

中に入り石の椅子に座るり、その板の隙間を抜ける風音を感じると伊丹氏が、この外壁の板を弦と表現しているのがよくわかる。

 

 

軒先のフラットバー加工によるシャープなデザインが、ゆるく弧を描いている壁面を強調していて、その影も絶妙。

 

 

Part.2へつづく

 

 

夏の恒例行事

今年も8月9月に8人の学生がオープンデスクに来た。 これは学生が夏休みの間に行う職業体験の様な物で、受け入れ方式には学生本人からや日本建築家協会(JIA) からの紹介など様々だが、設計事務所の仕事を体験する良い制度である。

期間は2週間から3週間で、事務所内で模型を製作したり、CADで図面を描いたりする。 近くの現場がある時は担当者と一緒に現場打合せや検査などを見学する事もある。 特に現場を見ることは学校では体験出来ない事で、スタッフと職人さんや現場監督との打合せを聴いたりと、 リアルな現場を体験できる。

又、学生が多い時期に納涼会を行い、そこで大学の課題で一番の自信作をスタッフや他の学生にプレゼンをしてもらっている。 大学内でも発表の場はあると思うが、実務をしているスタッフや他大学の学生から普段とは違った目線でも講評を受ける事ができる。 特に学生同士は良い刺激になっている様で、熱心に情報交換などをしている姿が見られる。

我々スタッフも実務とは違う学生の設計に刺激を貰え、又、楽しく建築談義ができ、リフレッシュする事ができた。

たまたま誕生日だった私と数日前に誕生日だった橋本。

みんなに祝って頂きました。

弊社ホームページでは随時オープンデスクを募集しています。  http://www.maniera.co.jp/opendesk.html