佳水園

常々思うことですが、価値のある建築を「見学」するだけでなく、「使用」してみたい。

ということで、モダニズムの巨匠・故・村野藤吾氏の傑作和風建築として名高い。ウェスティン都ホテル数奇屋風別館・佳水園に宿泊してきました。宿泊すれば、時間を気にせずにまったりとその空間に浸れます。

本館で受付を済ませたら、エレベーターで七階まで上がります。山に寄りかかるように建築されているので、不思議な感じですが、佳水園は七階にあります。ここが2つの建築をつなぐ渡り廊下のようなところ。右がウェスティン都ホテル本館、左が別館・佳水園。

 

ロビーから庭を望む。軒・簾による風景の切り方、向かいの屋根やこちらの床、水平方向の統一感がものすごく美しいです。絶妙なバランス感覚によって、寸法を決められているんだと思います。

 

ホールから、各室へ進む廊下を望む。3つの天井と、柱がどれも交わらない。立体的で奥行き感が増幅されます。

 

奥見える庭園は、7代目小川治兵衛の息子・白楊によって作庭されたもので、岩盤をそのまま庭にしているという大胆な形です。岩盤をそのまま利用した白楊、その岩盤庭園をそのまま利用した村野藤吾。立体的に山に入り込んでいくように客室へアプローチしていく面白さが有ります。

 

写真ではわかりにくくなってしまいましたが、障子から庭の滝が見え隠れします。この廊下は障子の開いているところと、閉まっているところがあり、閉まっているところを一応開けてみると、案の定、裏方っぽい配線がすぐ見えたりしました。障子が閉まっている時は何か庭がどこまでも続いているような錯覚を覚えたのですが、上手いこと隠したものです。

 

ちょっと面白かったのですが、にじり口を非常口にしています。これはいいのでしょうか。現代の法律では難しそうですね・・。

 

客室から庭を望む。軒の出がとても大きい上に駆け込み天井になっていて、奥行きが増し、また、外の風景を巧みに取り込んでいます。

この建物の中で最も有名なのは、この屋根です。緩い勾配・薄い庇の銅版葺きが壁面よりも大きく張り出して普通の数奇屋建築とは一線を隔す、軽やかでモダンな雰囲気です。そして、見たかったのが全景を見下ろすこの風景。

宿泊するまで知らなかったことですが、この風景が見られる部屋は限られています。おそらく、白楊の庭の上まで行くことができる、二部屋だけではないでしょうか。(確かめていませんが・・・)この風景を見ながら、のんびりとビールが飲める。なんという贅沢。とてもラッキーでした。

村野藤吾は若い頃住んでいた借家の家主に日本建築の手ほどきを受けたといいますが、その人の言葉に「外からは小さく低く、内に入るほど広く高くすること」というのがあり、それを地で行くというか、モダンに昇華した形がまさにこの屋根の形に表れているような気がします。

ところで話は変わりますが、もう10年以上も前、建築を志すより昔に、村野藤吾の名前をはじめて知ったのはこの写真の建造物が始めてでした。知っていますか?これ。

梅田の換気塔です。子供の頃から見ていて、なんだろうなーと思っていたのですが。これもまた、巨匠の作品だったんですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です