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投入堂

 

三朝の三徳山三佛寺・投入堂に行ってきました。

三徳山は神・仏の宿る霊山。石鎚山(愛媛)・吉野山(奈良)とならぶ修行の場として有名で、慶雲3年(706年)に開山したと言われています。
その昔、修行者が蓮の花びらを、「この花びらを、神仏にゆかりのあるところへおとしてください。」と空に投げたところ、先の3つの山に舞い降りたため、そこに順にお堂を造っていったそうです。その最後が三徳山で、修行者が麓にお堂を造りました。そして、それを法力で手のひらに乗るほどに小さくして、大きな掛け声と共に断崖絶壁にある岩窟に投入れたと伝えられています。「投入堂」の名はこの事に由来します。 その他も、重文や国宝のお堂も幾つかあり、建立はそれぞれ平安時代後期及び室町時代・江戸時代後期とされています。 厳しい自然に身をおいて、悟りを開くために敢えて危険な場所に建立したお堂なので、参拝にも登山を要することで有名です。行く前に基本部分をざっくり調べただけだったので、受付で説明を聞いた時は驚きました。

と言うのも、以前からの入山時に靴のチェック(許可されなかったら受付で売ってる草鞋を購入しないとダメ)や、入山届の提出・雨天時は入山不可などの約束事があり、加えて、ここ数年連続で死者もでているらしく、警察から「一人での参拝は禁止」という指導がでて、お寺への参拝にしてはかなり厳しめの内容だったからです。

 結局、履いてた靴が許可されず500円で草鞋を購入。出鼻を挫かれ、裸足に草鞋スタイルで出発しました。・・・が、出発してすぐに、考えがあまかったことに気がつきました。

 途中、鎖やロープを頼りに崖を上る場所があるという事は知っていましたが、数もレベルも予想以上で、一歩間違えば大怪我しそうなところばかり。崖下へ転落なんかしようものなら間違いなく即死するはず。けれど、柵はなく、たまに命綱がある程度の安全対策もある意味すごかったです。 修行の意味が込められての事なので参拝者としては楽しいけれど、都会に住んでる者にはアナクロニズムな感覚をおぼえました。 

 草鞋に関しては、雨上がりとあって通常よりスリッピーな地面に足を取られていた靴の人たちを余所に、岩の上や木の根の上もモノともせずで、かなり威力を発揮!先人の知恵と道具の素晴らしさに感動・感心でした。 そんなこんなで、途中の崖っぷちに建つ文殊堂や地蔵堂に立ち寄り、「まさに絶景」を堪能して、最後に参拝者を待つ投入堂と納経堂へ。

 直線距離にすると麓から僅か500m程度ですが、道中を考えると充実感・達成感が結構ありました。それに、冒頭の伝説はホントの話じゃないかと思うくらい、どうやってあの場所に建てたのか不思議で、ここでも先人の知恵と忍耐に驚嘆せずにはいられませんでした。

 この日は、驚きと感動の充実した一日を堪能できました。行った事がある誰に聞いてもいい感想しか聞いたことのない、かなりお勧めのスポットです。

個人的にも、関西からだと日帰りで十分いける距離なので、近いうちにまた行きたいと思っています。

佳水園

常々思うことですが、価値のある建築を「見学」するだけでなく、「使用」してみたい。

ということで、モダニズムの巨匠・故・村野藤吾氏の傑作和風建築として名高い。ウェスティン都ホテル数奇屋風別館・佳水園に宿泊してきました。宿泊すれば、時間を気にせずにまったりとその空間に浸れます。

本館で受付を済ませたら、エレベーターで七階まで上がります。山に寄りかかるように建築されているので、不思議な感じですが、佳水園は七階にあります。ここが2つの建築をつなぐ渡り廊下のようなところ。右がウェスティン都ホテル本館、左が別館・佳水園。

 

ロビーから庭を望む。軒・簾による風景の切り方、向かいの屋根やこちらの床、水平方向の統一感がものすごく美しいです。絶妙なバランス感覚によって、寸法を決められているんだと思います。

 

ホールから、各室へ進む廊下を望む。3つの天井と、柱がどれも交わらない。立体的で奥行き感が増幅されます。

 

奥見える庭園は、7代目小川治兵衛の息子・白楊によって作庭されたもので、岩盤をそのまま庭にしているという大胆な形です。岩盤をそのまま利用した白楊、その岩盤庭園をそのまま利用した村野藤吾。立体的に山に入り込んでいくように客室へアプローチしていく面白さが有ります。

 

写真ではわかりにくくなってしまいましたが、障子から庭の滝が見え隠れします。この廊下は障子の開いているところと、閉まっているところがあり、閉まっているところを一応開けてみると、案の定、裏方っぽい配線がすぐ見えたりしました。障子が閉まっている時は何か庭がどこまでも続いているような錯覚を覚えたのですが、上手いこと隠したものです。

 

ちょっと面白かったのですが、にじり口を非常口にしています。これはいいのでしょうか。現代の法律では難しそうですね・・。

 

客室から庭を望む。軒の出がとても大きい上に駆け込み天井になっていて、奥行きが増し、また、外の風景を巧みに取り込んでいます。

この建物の中で最も有名なのは、この屋根です。緩い勾配・薄い庇の銅版葺きが壁面よりも大きく張り出して普通の数奇屋建築とは一線を隔す、軽やかでモダンな雰囲気です。そして、見たかったのが全景を見下ろすこの風景。

宿泊するまで知らなかったことですが、この風景が見られる部屋は限られています。おそらく、白楊の庭の上まで行くことができる、二部屋だけではないでしょうか。(確かめていませんが・・・)この風景を見ながら、のんびりとビールが飲める。なんという贅沢。とてもラッキーでした。

村野藤吾は若い頃住んでいた借家の家主に日本建築の手ほどきを受けたといいますが、その人の言葉に「外からは小さく低く、内に入るほど広く高くすること」というのがあり、それを地で行くというか、モダンに昇華した形がまさにこの屋根の形に表れているような気がします。

ところで話は変わりますが、もう10年以上も前、建築を志すより昔に、村野藤吾の名前をはじめて知ったのはこの写真の建造物が始めてでした。知っていますか?これ。

梅田の換気塔です。子供の頃から見ていて、なんだろうなーと思っていたのですが。これもまた、巨匠の作品だったんですね。

栃木の建築(2)

引き続き、隈研吾さん設計の石の美術館へ。

 

大正から昭和初期に地元産の芦野石で建てられた石蔵をリノベーションした建物、

また、同じ芦野石を使用した総石造りの建物が併設した美術館です。

来る途中の道のりにも同じような石蔵が数多く残り、独特の街並みを感じられました。

 

この日は寒さのため凍っていましたが・・・

水面と石造りの建物が美しかったです。

 

石蔵をリノベーションした珍しい和室です。

壁と柱が石造りでできていて、繊細な柱がとても印象的できれいでした。

他にも隈さんが各プロジェクトで採用されている石のディティールがたくさん見られたり、

石の勉強や体感できる美術館なので建築以外にも楽しんでいただけると思います。

 

旅にはグルメ!!!

ということで近くには創業300年続く老舗のうなぎやさん、丁子屋へ立ち寄りました。

有名な芸能人も数多く来られており、ちなみに隈さんの写真もありました。

もちろんうなぎはとてもおいしかったです。

 

続いて、中村拓志さん設計の録ミュージアムへ。

 

こちらはメインの道路から少し入ったところに位置し、

ちょこっと立ち寄れるカフェのような場所でした。

 

木と人が寄り添う建築。

コンセプトが明確に感じ取れる建物です。

 

この建築では入口をくぐってはいるのも楽しみのひとつです。

少しドキドキします。

 

内部は柔らかな光が降り注ぎ、全体が曲線を描いているため圧迫感もなく

ゆっくりとくつろげる空間となっていました。

また、オーナーさんがとてもご親切なかたでお話まで聞かせていただきました。

 

最後は宇都宮名物、ぎょうざを3種類いただきました。

 

栃木の建築(1)

栃木県に行ってきました。

宇都宮→馬頭広重美術館→石の美術館→録ミュージアム→宇都宮へと巡ったのですが

同じ那須郡でもかなり遠く各移動時間にレンタカーで1時間は山道をぐるぐるとまわり、

移動時間だけでも4時間はかかりました。

 

隈研吾さん設計の馬頭広重美術館。

朝1番に到着しました。

広大な敷地と借景の山、

そして建物を覆うルーバーに朝陽が降り注ぐ風景はとても印象的です。

 

素材にもこだわっており、外部を覆うルーバーは地元産の八溝杉、

内部の床材は芦野石、壁には鳥山和紙と地元の素材がふんだんに使用されています。

ルーバーからこぼれる自然の光、和紙からこぼれるやわらかな光、

そしてこの地の素材で包まれた浮世絵は

まさにこの地にこの建築、展示の浮世絵を引き立たせる建築だと感じさせられる

とても勉強になる建築でした。

 

シンガポール建築(3)

学生の建築旅行とは違って、ディテール部分が気になってしまいます(笑)

天井照明も一手間加え、器具が見えないよう工夫してえいたり、機械の点検口がわからないように納められていたり・・・・普段の設計活動にも活かしていければと思いました。

 

もちろん、建築だけでなくホーカーズ(屋台村)にも寄り、地元の料理&お酒も堪能。

地ビールのタイガー、ラッフルズ、バロンで宴会も。バロンのエクストラはアルコール度11.8%。なかなか飲み慣れない味でした(笑)

2日間での総歩行距離約5万歩。距離にして約40km。

十分すぎるほど頭と体を動かした、充実した2日間でした。

 (written by : T.Adachi)

シンガポール建築(2)

2/3(日) 2日目

自由行動。シンガポール中心街を各自が自由に探訪。

ラサール・アート・カレッジ → マリーナ・ベイ・サンズ → アート・サイエンス・ミュージアム → ガーデン・バイ・ザ・ベイ → パークロイヤル・オン・ピッカリング などなど

 

大きな外観に何本もの亀裂が入ったようなデザイン。内部は・・・

内部こんな総ガラス張りの斬新なもの。中と外の印象がまったく異なる印象的な建物でした。

シンガポールを代表する風景。曇り空が残念です・・・。

貝殻の形をした巨大な温室空間。放射状に延びる構造材によってのみ支持されていました。

 

 

等高線のような層が重なった外観をもつホテル。層の段差を利用して植栽が配されていました

(written by : T.Adachi)

シンガポール建築(1)

2/2~4まで社員旅行に行ってきました。

場所はシンガポール。東京23区程の広さがある国の建築を2日間で見てまわりました。

 

2/2(土) 初日

早朝、シンガポール チャンギ空港に到着。バスで中心街以外の建築を見てまわりました。

ビシャン公共図書館 → 南洋理工大学芸術部等 → インターレース(工事中) → リフレクションズ・アット・ケッペル・ベイ → ヘンダーソン・ウェーブ  などなど

 

カラーガラスが印象的で、開館前から行列ができる人気の公共図書館でした。

大きな積み木のような大規模集合住宅プロジェクト。内部がどうなっているのか気になります。

複雑な形態と共に屋上緑化・水盤が印象的な大学の施設。

 

建物が湾曲した集合住宅群。ガラスとアルミパネルがフラットに納められ、見る角度によって様々な表情をみせてくれます。

リフレクションズの敷地内にあった施設。銅板で屋根と外壁が一体的に仕上げら、出隅もキレイに納められていました。

 

 

うねる様なデザインの歩行者専用橋。デッキの固定方法にも一工夫されていました。

 (written by : T.Adachi)